ダイエットをしていると、「夜の遅い時間の食事は太る」という言葉をよく耳にしますが
ついつい食べてしまって罪悪感を感じたことはありませんか?
夜遅い時間の食事が太りやすいと言われているのは
食事の内容だけでなく、食事を取る時間帯も体重に影響を与えることがあるということが分かってきていて「何をどれだけ食べるか」だけでなく、「いつ、どのように食べるか」と「時間」を考慮する必要があります。
栄養素はもちろん、食事の時間で健康効果がアップすることがわかっています。
本記事では、夜の食事の時間の焦点を当て、食事のタイミングについて、解説していきます。
食事のタイミング
一般的に夜遅くに食事をすることは、体重増加につながりやすいとされています。
これは、夜間に体がエネルギーを消費する効率が低下するためです。
人間の体には、体内時計リズムによって、昼間はエネルギーを積極的に使い、夜間は休息や修復を行いうサイクルが無意識で働いています。
これには、体内リズムによるインスリン分泌量が関係していると考えられており、朝や昼に比べて夜はインスリン感受性が低下する傾向があるため、インスリン感受性が高いと、体は効率よく糖分をエネルギーとして利用できますが、インスリン感受性が低下すると、同じ量の糖を摂取しても、エネルギーとして使われにくく脂肪として蓄積されやすくなります。
このため、夜に摂取したカロリーは、脂肪として蓄積されやすくなるのです。
夜食は睡眠の質にも悪影響を及ぼすことがあります。
特に、カフェインや砂糖を多く含む食品、脂っこいものを夜遅くに食べると、胃腸が活発に働き続け、リラックスして深く眠ることが難しくなります。
一般的に、食べ物が胃にとどまって消化される時間は約2〜3時間、肉や揚げ物など脂肪が多い食べ物になると約4〜5時間必要だといわれています。
食べ物を消化する時間を考慮すると、食事の間隔は4〜5時間空けるのがおすすめです。
さらに、十分な睡眠が取れないと、ホルモンのバランスが乱れ、食欲が増してしまいます。
これにより、ダイエットの成功が妨げられ、逆に体重増加につながることもあります。睡眠不足は、体の脂肪を燃焼する能力も低下させるため、特に夜遅い時間の食事は避けるべきです。
食事時間の影響
摂取カロリーが消費カロリーを上回ると体重が増えるのは当然ですが、カロリー摂取のタイミングが重要であることも多くの研究で示唆されています。
肥満の女性を対象に行われた実験で、20 週間の420 人の被験者を対象に、食事のタイミングが減量効果に及ぼす役割を評価しました。
20週間の治療期間中、昼食を遅く食べる人は早く食べる人よりも体重の減少が少なく、体重減少率も遅かった(P=0.002)。エネルギー摂取量、食事構成、推定エネルギー消費量、食欲ホルモン、睡眠時間は両グループで同様であったが、昼食を遅く食べる人は早く食べる人よりも夜型で、朝食をあまり食べず、朝食を抜く頻度が高い傾向もみられた。結果として、同じカロリー摂取量でも朝食をしっかり摂るグループと夕食をメインに摂るグループで比較したところ、朝食をしっかり摂るグループは体重が減りやすく、また空腹感や血糖値のコントロールが良好だったという結果が出ました 。
Timing of food intake predicts weight loss effectiveness https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23357955/
この研究では、朝に多くのカロリーを摂取することで体がそのエネルギーを効率的に利用し、夕方や夜のカロリー摂取を減らすことが、体重管理に有利であることが確認されています。逆に、夜遅くに多くのカロリーを摂ると、エネルギーが消費されず脂肪として蓄積されやすくなります。
また、2013年に発表された朝に多くのカロリーを摂る場合と、夕食に多くのカロリーを摂る場合で、体重減少や代謝にどのような違いがあるかを調べた研究では肥満や過体重の女性93人を対象に、1日あたりの総摂取カロリーは同じに設定され、2つのグループに分けられ、カロリーを多く摂る時間帯が異なる2つのグループに分けました。
朝食グループ:朝に1日のカロリーの大部分を摂取
夕食グループ:夕方に1日のカロリーの大部分を摂取
それぞれのグループでカロリーの合計は同じだったにもかかわらず、朝食グループは、夕食グループよりも多くの体重を減らした。同じカロリーを摂取していても、朝食でカロリーを多く摂ったグループの方が、体重が減減るだけでなく、朝食グループはインスリン感受性が改善し、血糖値の改善も示唆されました。
一方で、夕食グループは、空腹感や食欲が強くなる傾向がみられました。夜にカロリーを多く摂った人たちは、日中に空腹感を強く感じ、間食が増えやすい傾向があると考えられます。
この研究の結果は、カロリーの摂取量だけでなく、摂取のタイミングも重要であることを示唆しています。High caloric intake at breakfast vs. dinner differentially influences weight loss of overweight and obese women https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23512957/
夜遅い食事が避けられない場合は?
仕事や家事で忙しい日々を送っていると、どうしても夜遅くに食べざるを得ないこともあります。
そのような場合には、食事の内容を工夫することで、体への負担を減らすことができます。
夜はインスリン感受性が低いため、炭水化物を多く摂ると血糖値が上がり、脂肪が蓄積されやすくなります。もし炭水化物を摂る場合は、少量にするか、食物繊維が豊富なもの(全粒穀物、野菜)がおすすめです。さらに、可能であれば、食後2〜3時間は空けてから寝るようにしましょう。
食べた直後に寝ると、消化が遅くなるだけでなく、睡眠の質も低下してしまいます。
寝るまでに時間がない場合は、特に消化に良い食品を選んでみましょう。
【消化のいい食事】
油の使用を控えめにする、加熱を加えて食材を柔らかくする、細かく刻んであげるなど調理方法を工夫してあげることで消化を促すことができます。
消化が良く、低カロリーな食事として
・野菜スープ:水分が多く、カロリーが低い。
・温野菜(ドレッシングは控えめに):野菜中心の食事は、満腹感を得やすい。
・鶏胸肉、豆腐、ゆで卵、低脂肪の魚など(高タンパク質の食品)
体に必要なタンパク質を摂りつつ、脂肪分を抑えることを意識してみましょう♪
冷たい食材は胃腸を冷やす可能性があるので、寝るまでに時間がない夜遅い時間の食事は避けましょう。
まとめ
食事は、食材や栄養素だけでなく、食べる時間も重要です。
夜遅くの食事は脂肪の蓄積を招きやすく、特にインスリン感受性の低下や睡眠の質の低下によって、体重増加のリスクが高まります。しかし、食事のタイミングや内容を工夫することで、無理なく体重を管理することも可能です。
ダイエットを成功させるためには、朝食や昼食をしっかり摂り、夕食は軽めにする習慣を身につけることが理想です。どうしても夜食が必要な場合には、消化の良い食材や調理方法を選んでみまよう。
食事のタイミングを意識することで、ホルモンの働きや内臓への負担、消化吸収など体全体に影響を与えます。特に、インスリン感受性の低下や体内リズムの影響でエネルギー消費などは大きく関わっています。
まずは、生活リズムを見直し、自分の生活習慣を確立することも大切です(^^)