お通じを整えるといえば食物繊維というイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。
食物繊維には、腸内環境を整え、お通じをよくする効果もありますが
他にも様々な働きがあり、
身体の調子を整えるのに役立ちます。
食物繊維の働きや身体への影響を
本記事ではお伝えしていきます。
手軽に食物繊維を取り入れ、身体の内側から健康になりましょう。
食物繊維とは?
食物繊維とは、食べ物の中に含まれている、
小腸で消化・吸収することのできない成分の総称のことです。
「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」と定義されています。
5大栄養素といえば、炭水化物・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルであり、
生命活動を維持するために必要不可欠な栄養素です。
食物繊維は生命維持には直接関係していませんが
整腸作用など身体のなかで有用な働きをすることから、
5大栄養素に次ぐ「第6の栄養素」と言われるほど、
身体にいい働きをする栄養素なのです。
食物繊維不足で引き起こされるのは腸内環境の悪化です。
便秘や悪玉菌の増加、満腹感を得にくいことから食べ過ぎてしまい、
結果肥満を招きやすくなります。
糖尿病などの生活習慣病のリスクも高まります。
食物繊維は体内で消化・吸収されず、小腸を通って大腸まで到達するため
便の体積を増やす材料になり、お通じの改善が見込まれます。
さらに、大腸内の環境を改善する腸内細菌に利用され、これらの菌を増やす
いわゆる善玉菌が増え、腸内環境がよくなり
結果として、血液循環の向上や栄養分の吸収率が高まり
細胞の活性化の効果が期待できます。
腸内環境を整えることは
・便秘の解消
・免疫力の向上
・細胞の活性化によるアンチエイジング
・代謝アップで痩せ体質
など、健康・ダイエットに嬉しい効果がたくさんあります。
食物繊維の種類
食物繊維には様々な種類がありますが
水に溶けない「不溶性食物繊維」
水に溶ける「水溶性食物繊維」の2種類に分けられます。
不溶性食物繊維は、便のかさを増やす役割を持っていて
腸の運動を活発にし、お通じを整えてくれます。
水溶性食物繊維は、腸内環境を整えることや
食後血糖値の上昇をおだやかにする働きがあります。
不溶性と水溶性食物繊維には、働きに違いがあるため、
バランスよく摂ることが重要です。
食物繊維の働き
食物繊維の主な働きは、便通を整えて便秘を防ぐ整腸作用です。
食物繊維は消化・吸収されずに小腸を通って大腸まで達するため、
便の体積を増やし、大腸を刺激して腸の動きを活発化することで排便を促す働きがあります。
さらに食物繊維が大腸に住む腸内細菌のエサとなり、
善玉菌を増やして腸内環境を好ましい状態に保ってくれます。
腸内環境がいいことは、健康へ好影響です。
他の栄養素の吸収を妨げたり、吸収速度を遅らせたりする働きもあるため
糖の吸収速度を緩やかにすることができ、血糖値の上昇速度を抑え、
食後の高血糖を防ぐことができます。
血糖値の上昇をゆるやかにすることで、身体にエネルギー源としての
余分な脂肪(糖)を蓄えることを防ぐことができます。
食物中に含まれるコレステロールの吸収を妨げる作用もあり
コレステロールを体外へ便と一緒に排出してくれます。
食物繊維には
・腸内環境を整える
・血糖値の上昇を穏やかにする
・血中コレステロールを低減する
効果が期待できます。
そのため、食物繊維は健康・ダイエットに最適な栄養素なのです。
9万人を超える日本人を対象に、食物繊維の摂取状況と、
その後約17年間のあらゆる原因による死亡(総死亡)、および死因別死亡の関係を調査した
研究によって以下のことが判りました。
食物繊維の摂取量、可溶性食物繊維の摂取量、不溶性食物繊維の摂取量はいずれも、
総死亡リスクと逆相関関係を示しました。
食物繊維の摂取量が最も少なかった最低五分位群に比べ、
最も多かった最高五分位群では、
総死亡リスクが男性で23%、女性で18%減少がみられたどのような食品から摂取した食物繊維が
死亡リスクの低下と関係するのかを検討しました。その結果、穀類由来の食物繊維の摂取と総死亡の間には有意な関係は見られず、
食物繊維摂取量と総死亡率および原因別死亡率:日本保健所のコホート研究
豆類、果物、野菜由来の食物繊維の摂取量は、
総死亡リスクとの間に逆相関関係を示すことが明らかになりました
https://academic.oup.com/ajcn/article/111/5/1027/5716885?login=false
食物繊維が豊富な食べ物
食物繊維はおもに、
穀類・豆類・野菜類・果実類・きのこ類・藻類などの植物性食品に多く含まれています。
厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
によれば一般的な成人は一日に24g以上の食物繊維を摂ることが理想とされています。
具体的に、わかりやすい食材でいうと
納豆100g(およそパック2つ分) 6.7gの食物繊維を含んでいるため
1日に納豆8パックで1日に必要な食物繊維を摂ることができます。
ごぼう100g 6.1gの食物繊維を含んでいるため
1日の食物繊維を満たすには、400g食べる必要があります。
実際には、穀類・豆類・野菜類・果実類・きのこ類・藻類など
食物繊維を含む食材は多いため
他の栄養バランスも考慮しつつ
たくさんの食材を食べることをおすすめします。
そのなかでも、食物繊維が豊富に含まれている代表例をお伝えします。
・穀物
精製されたものよりも未精製の食べ物に多く含まれます
例えば、白米よりも玄米のほうが食物繊維が豊富です。
玄米・麦めし、オートミールなど
・きのこ類
きのこは全般的に食物繊維が豊富で
中でも、きくらげ・なめこ・しいたけは含有量が高いです。
きのこ類の中には、茹でたほうが不溶性食物繊維が増えるものもあります。
(えのきたけ、しめじ、まいたけ、マッシュルームなど)
・野菜類
モロヘイヤ・ごぼう・切り干し大根
・果物類
アボカド・レモン・ブルーベリー・キウイ
※ドライフルーツは食物繊維の含有量が多いため、
腸内環境を整えるための間食にぴったりです。
効率よく食物繊維を摂るには
食物繊維は肉・魚などの動物性の食べ物にはあまり含まれず
植物性の食べ物から効率よく摂取できます。
多くの食物繊維は水分中に溶け出ていくことはないので、茹でて食べても
それほど問題はないと言われています。
しかし、水溶性食物繊維は、加熱中に成分が水に逃げ出してしまうため
茹でる・煮るの調理法を取るときは、煮汁ごと使う料理がおすすめです。
茹でることで、不溶性食物繊維が増える食材もあります。
サラダももちろん効果的ですが
茹で・蒸して野菜のカサを少なくすることで
たくさんの野菜を食べることができます!
芋、豆、野菜、果物、海藻、きのこなどの
多くの食材をまんべんなく摂るようにすると、
水溶性と不溶性食物繊維をバランス良く摂取しやすくなるので
1品野菜中心の副菜を追加するだけで
食物繊維をはじめ、ビタミン・ミネラルも取れるためおすすめです。
摂取効率の良い食べ方として、
野菜(根菜中心に)や豆類を煮込んでスープにしたり、味噌汁で食べると
効率よく食物繊維を摂取できます。
まとめ
食物繊維はお腹の調子をよくする整腸作用だけでなく、
健康を維持するために欠かせない栄養素です。
腸内環境も整うため、アンチエイジング、ダイエットにも
効果的で積極的に取りたいものです。
食物繊維が不足すると便通が悪くなるほか、
糖尿病など生活習慣病にかかるリスクも上がってしまいます。
現在の日本人の平均摂取量は、理想値に達していません。
無意識のうちに、食物繊維摂取量が不足している現状です。
そのため、食物繊維を補うには、
植物性食品、つまり野菜中心のおかずを一品増やしてみたり、
普段のデザートや間食を果物に変えてみたりして
食物繊維の摂取量を増やしてみましょう!
普段の食事の選ぶ意識を変えるだけでも
身体は内側からコツコツ変化していきます。
身体の内側から健康体を目指しましょう♪