近年、骨盤矯正を軸にした整体メニューなどよく見かけます。
「骨盤矯正ダイエット」もあるように
骨盤矯正という言葉は、一般的に広く認知されています。
骨盤を正しい位置に「矯正」する療法が、
TVや雑誌などのメディアでも多く取り上げられていますが
実際に、骨盤を動かしているのでしょうか。
本記事では、「骨盤矯正」について
骨盤がゆがむという表現の解説や骨盤まわりについてお伝えしていきます。
骨盤矯正とは
「骨盤矯正」という用語は医学的にはありません。
骨盤がゆがむという話ですが、これに関しては医学的にあり得ない現象です。
骨盤はいくつかの骨が集まって構成されていて、それぞれの骨は靱帯で強固に結合されています。
交通事故や高い場所からの落下など
よほど強い衝撃が加わらない限り骨盤がゆがむことは医学的にありません。
よく言われている「骨盤がゆがむ」という表現は、
日常生活での習慣やけが、筋肉の疲労などによって、骨盤まわりの筋肉の収縮が左右前後対称ではなく
前後左右のいずれかに傾いていることです。
冷えやむくみ、ダイエット、腰痛などの
さまざまな症状の改善に役立つといわれていますが
骨盤自体にアプローチしているのではなく、
骨盤まわりの筋肉や神経、血管などに働きかけ
身体の不調が改善していると考えられます。
さらに「矯正」とは、欠点・悪習などを正常な状態に直すこと と定義されおり
骨盤矯正は、正常状態から逸脱した骨関節などの変形を、
ギプスやコルセットなどで正しい形に治すことを指しています。
世間で認知されている骨盤矯正とは少し印象が違うのではないでしょうか。
骨盤矯正は、骨折か大きな負荷によって変形して骨盤を正常な状態に戻すことを
指しますが、世間一般に認知されているものは
マッサージや指圧、ストレッチやEMSなど用いた運動によって
骨盤まわりの筋肉や神経に働きかける療法のことです。
骨盤まわりの筋肉・神経・血管に働きかけて
結果として「骨盤」の傾きが少なくなる
(筋肉の緊張や神経圧迫が緩み、本来の正常な位置に戻る)ことは
骨盤矯正と言えるのか、、それは捉え方次第だと思います。
ただ、日常の生活や癖で「骨盤がゆがむ」という骨自体が変形することはありません。
骨盤矯正の本質はマッサージによるもので、病院などで療法されている印象は少なく
整骨院やカイロプラティックなど、民間療法でよく診られます。
骨への施術行程ではなく、骨盤の周囲にある筋肉をマッサージして、
足の長さをそろえたり、姿勢や重心を身体の真ん中になるように働きかけます。
骨盤矯正といっても、骨盤の形を変えているわけではありません。
産後は骨盤がゆがむ?
妊娠・出産時は、「リラキシン」というホルモンが分泌され
赤ちゃんが骨盤を通りやすくするために
骨盤周りの靭帯や筋肉が緩み、骨盤が少しずつ開いていきます。
出産後、開いた骨盤は
年齢や出産時のダメージ、産後の生活環境により回復期間は個人差がありますが
一般的に3~4ヶ月かけて自然と元の状態に戻ります。
このときに、骨盤がズレてしまうと腰痛や身体の不調、下半身太りの原因になると
骨盤矯正を勧めている整骨院などよく見かけます。
しかし、実際には
骨盤がズレて戻ることは少なく、骨盤周りの深層筋が弱っているため
骨盤周囲の筋力が回復せず代謝が落ちるため、体重が産前になかなか戻らなかったり
腰痛や肩こりなど身体の不調の症状が現れます。
産前よりも、お尻まわりが下垂していると感じるのも
筋力が低下し、ハリがなくなったためだと考えられます。
産後は骨盤がズレ戻ってしまうため
「産後の骨盤矯正」は必要という、誤解を生んでいるのかもしれません。
実際には、骨盤のゆがみが原因ではなく、
産後安静にしていることで、骨盤まわりや下半身を中心に筋肉が弱り
姿勢支持が不安定になっているん環境で
赤ちゃんのお世話もしなければいけないため、腰痛や肩こりを引き起こしています。
骨盤自体に異常があれば、恥骨部や腰部に歩行が困難なほど痛みが生じるため
整骨院ではなく、きちんと医療機関の医師の診断を受けましょう。
骨盤矯正グッズは効果あるの?
骨盤ベルトや骨盤矯正クッション・椅子 など多くのグッズが販売されています。
数多く出ている骨盤矯正グッズは
骨盤を支える筋力が弱くなってしまい、姿勢が悪くなったりボディラインが崩れるのを予防する
役割があります。
そのため、腰痛がある人は
腰が軽くなった!と効果があるように感じられます。
しかし、ベルトに頼ることで、本来働かなければいけない筋肉がサボってしまい
筋力低下の原因にもなるため、長時間の着用はおすすめしません。
限定的に、重いものや運動するときに着用することは、
骨盤まわりに正しい状態、正しい位置を脳へ覚えさせるという神経促通という点では
効果的だと思います。
骨盤矯正ベルトをつけるだけで、
ダイエット効果、下半身太りの解消、冷えやむくみの改善はあまり期待できません。
骨盤を正しい状態に強制的にベルトで支持することで
普段使わない骨盤まわりの筋肉への刺激、姿勢の改善で腰椎の負荷の軽減など
によって、骨盤を正しい位置で支持できるサポートをする役割が期待できます。
骨盤矯正ベルトは着用するだけでは効果はなく、
着用して、運動や姿勢を支持する筋肉をつけるなど補助的な役割として認識しておきましょう。
骨盤まわりを整えるメリット
骨盤矯正という言葉は、医学的なものではなく
一般的に捉えられている骨盤矯正は、
骨盤ではなく、骨盤まわりの筋肉、神経、血流にアプローチしています。
骨盤まわりをケアすることは、健康に深く繋がりがあり、
身体の不調も軽減する効果が期待できます。
・骨盤が正しい位置に戻ると姿勢が良くなる
脊柱(背骨)がしっかりと骨盤で支えられるため
姿勢の悪さからくる、腰や肩への負担が減り
腰痛や肩こりが軽減します。
・冷え・むくみの改善
骨盤の中に収まっている臓器は
小腸や大腸など血管系・リンパ系・免疫系に関係の深い部分があります。
血流やリンパの流れなど循環がよくなり
冷えやむくみ、便秘、生理痛などの慢性的な症状の改善も見込めます。
・代謝アップ
骨盤が正しい位置にくることで血流だけでなく
骨盤周囲の筋肉の働きもよくなるため、代謝が上がり
さらに、下半身の筋肉を効率よく使うことができるため、消費エネルギーは増え
その結果、痩せる、下半身が引き締まります。
骨盤まわりをケアすることは、身体の調子を整える上でも重要で
身体の不調、慢性的な症状を緩和するにも効果が期待できます。
しかし、わざわざ、整骨院などに行かなくても
生活習慣や日常の姿勢を意識したり、生活する上で少しの意識の運動をするだけで
骨盤まわりを刺激することができます。
日頃の「悪い姿勢」や「偏った動作」が、
骨盤まわりの筋肉の拘縮を引き起こしており、
悪い姿勢や偏った動作をしたから、すぐに筋肉が拘縮して骨盤の傾きがみられるわけではありません。
毎日繰り返す日々の中で、時間をかけて徐々に
傾きが生じ、その状態で維持され、その姿勢が楽だと感じるようになります。
楽だと感じてしまうと、人の身体に備わっている
形状記憶機能が働き、体に歪みの癖がついてしまっているのです。
そのため、骨盤まわりを整えるには
1週間、1ヶ月ではなかなか改善はみられません。
形状記憶を、正しい骨盤の位置で上書きする必要があるため、
3ヶ月は骨盤まわりのケア、日常での意識、運動に取り組む必要があります。
しかし、正しい位置が形状記憶されることで、
関節の負担が最も軽く、偏った癖を取り除くことができ
正しい姿勢が楽な状態になるので、疲れにくく不調も出づらくなります。
1ヶ月整骨院に通ったから、不調が改善するのは一時的なものなので
根本的に良くしていくには、
生活習慣、日常の偏った癖など、意識して
骨盤まわりを整えましょう。
まとめ
骨盤矯正と言われている民間療法は
骨盤自体に施術するのではなく、骨盤を支えているまわりの筋肉や神経へアプローチし
筋肉の収縮の偏りを緩める療法です。
骨盤は、とても大きな負荷がかかることで、歪むことはありますが
日常の癖や姿勢の悪さで歪むことはありません。
悪い姿勢によって、筋肉の拘縮や伸び切ってしまい
骨盤まわりの筋肉の左右・前後のバランスが悪くなったりすることで
血流の流れが悪くなり、腰痛や肩こり
神経圧迫が起こり、坐骨神経痛など引き起こしたり
筋力の低下で下半身まわりに脂肪が蓄積しやすくなります。
骨盤まわりを整えることで
筋肉が十分に働き、疲れにくくなり、さらに代謝が上がり消費エネルギーが増えるため
体重を落とす効果も見込めます。
しかし、これは
骨盤を整えたからではなく、正常な位置に骨盤があることで
使う筋肉が増え、代謝が上がります。
身体を動かす必要があることは頭に入れておきましょう。
骨盤は身体の中心であり、整えることはとても大切ですが
「骨盤矯正に通っているから大丈夫」と姿勢が悪い日常を過ごしたり
偏った癖のままでいることは、根本的になにも解決していません。
自分の姿勢を見つめ直し、
筋肉の柔軟性をつけるためのストレッチや生活習慣を意識することで
自然と骨盤まわりに刺激が入り、身体が整いやすくなります。
まずは、日常生活を見直してみてください♪