年齢を重ねるごとに、なんだかよく眠れない…と感じ
「これは更年期なの?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
女性ホルモンのバランスの影響で睡眠の質が変わる場合があります。
よく眠れないことの背景には、いろいろな要因があるため
一概にこれという要因よりは
複雑に絡み合っている場合があるため
ストレスや生活習慣なども見つめ直すことも大切です。
本記事では、寝苦しいのは更年期の症状なの?
という疑問に対して、詳しく解説していきます。
更年期における不眠の要因
更年期とは、閉経前の5年間と閉経後の5年間とを併せた10年間を指します。
閉経を挟む前後10年(おおむね45~55歳)は、
女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が大きく変動します。
女性ホルモンのエストロゲンは、
脳内ではセロトニンやノルアドレナリンなど脳内神経伝達物質の正常な働きを守る働きがあります。
更年期に入ってエストロゲンが減少することにより、
セロトニンやノルアドレナリンの機能が低下するため不眠に繋がっていると考えられます。
更年期に不眠が増加する一因として、
血管が拡張したり収縮したりするバランスが乱れて(血管運動神経症状)が夜間に起こり、
ほてりや発汗といった症状が現れ睡眠が妨げられることがあります。
※血管運動神経症状は自律神経が乱れていることによって引き起こされます。
更年期の場合、女性ホルモンのバランスが崩れることで
自律神経が乱れて、血管の調節機能の乱れやホットフラッシュなどの症状が出ます。
睡眠中に、からだがカーッと熱くなって、汗が出たり、
夜中に目が覚めることで、眠りが中断され、「よく寝た」という実感や
すっきり感が得られにくく倦怠感が残ることもあります。
さらに、女性ホルモンの分泌の急激な低下により自律神経が不安定になることで、
睡眠をつかさどる間脳が影響されることが原因と考えられています。
しかし、不眠には、いろいろな要因が重なっている場合が多く
更年期の女性は、介護の問題や子育て、家事の負担、仕事との両立など
多方面からの問題を抱えて、考え込んでしまったり、
不安やうつ気分が強くなったりして眠れなくなったりする人が多くみられます。
更年期による不眠の症状は
加齢や女性ホルモンのゆらぎ、血管運動神経症状による
中途覚醒(途中で目が覚める)が大きく関連していると考えられています。
更年期後の女性における睡眠障害と血管運動症状の関連性を明らかにする研究で
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6092036/
更年期後の女性の約75%がホットフラッシュなどの血管運動症状を経験し
体温上昇や発汗が睡眠中に頻繁に起こるため、
入眠困難や目覚めの頻度が増加する可能性があると考えられています。
この研究の結果は、更年期後の女性における血管運動症状と睡眠障害の関連性を支持しています。
Sleep disturbance and vasomotor symptoms in postmenopausal women
不眠への対策
更年期だけでなく、加齢に伴い体内時計機構が脆弱となり、
睡眠リズムが乱れやすくなるため、規則正しい生活が大切です。
基本的に、朝は同じ時刻に起きて、午前中に太陽の光を浴びることが睡眠の質を改善します。
※就寝時刻も定刻にできると、一層リズムがつきやすくなります。
更年期の血管運動神経症状(ほてりや発汗)のためによく眠れない場合は、
自律神経を整えるためのセルフケアが効果的です。
例えば、生活習慣、適度な運動、栄養バランスの良い食事、眠る環境を整えるなど
自分が取り組みやすいことから、改善してみましょう。
大量の飲み物や刺激物(カフェイン、アルコール)の摂取や
喫煙によるニコチンには覚醒作用があるため、睡眠の質を低下させる傾向があります。
就寝前数時間はこれらを制限し、軽い食事やカフェインフリーの飲み物など工夫し
寝るための環境を整えましょう。
2015年の研究によると、
更年期症状のある女性(40〜60歳の女性29人)が、
1日あたり25mgの大豆イソフラボンアグリコン(女性ホルモンに似た働きをする成分)を8週間摂取した結果、不眠症状、抑うつ症状、ホットフラッシュなどの身体症状が有意に改善した。
大豆イソフラボンアグリコンが更年期症状の改善に有効である可能性を示唆しています。
大豆イソフラボンは、植物性エストロゲンとして知られ、体内のエストロゲン受容体に結合してエストロゲンのような効果を発揮すると考えられる
※ただし、この研究は比較的小規模なものであり、全体の効果や個別の症状への効果の程度には個人差がある
食事やサプリなどで、女性ホルモンバランスを整えるのも方法の一つです。
更年期の時期にはさまざまな症状が現れるために、
すべてが更年期によるものと決めつけてしまいがちです。
もし不眠症が継続する場合や日常生活に大きな影響を与える場合は、
別の病気も考えられるため、医師や睡眠専門家に相談しましょう。
Q&A
Q、最近寝苦しいけど、更年期の症状なの?
A、更年期には女性ホルモンの変動が起こり、
体温調節の乱れやホットフラッシュ(ほてり)などの症状によって
寝苦しく、不眠に繋がる場合もあります。
しかし、睡眠の問題は様々な要因によって引き起こされ
特に更年期は、様々な問題を抱えやすい傾向がありストレスを感じやすいため
睡眠環境、生活習慣、ストレス、身体的な健康状態など見直し、
改善できるところから、整えていきましょう。