近年、「グルテンフリー」という食事法が注目されており、言葉だけでも聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。
主に小麦粉が含まれた商品を断つ「グルテンフリー」は海外のモデルや芸能人が生活に取り入れる事によって世界的に注目されるようになりました。セリアック病の治療法として用途されていましたが、最近では健康や美容目的で取り入れる人も増えています。
本記事では、グルテンフリーの効果と身体への影響を
日本人への効果に注目して解説してきます。
グルテンフリーとは?
そもそもグルテンとは、小麦粉に含まれる「グルテニン」と「グリアジン」という2種類のたんぱく質が、水を加えてこねられることで絡み合い、網目状になった物質のことです。
パンやパスタ、ケーキなどのモチモチした食感を生み出しているのは、グルテンのおかげです。
しかし、一部の人々にとってはグルテンが消化や健康に問題を引き起こすことも判っています。
グルテンフリーとは、小麦、大麦、ライ麦などのグルテンを含む穀物を一切摂取せず
一般的に疾患やアレルギーがある方に推奨れる食事方法です。セリアック病、グルテン過敏症、小麦アレルギーの症状を持つ人々にとって、グルテンフリーは必須です。
グルテンフリーを実施することで、腸内環境を整え、腸内フローラの多様性が増し、消化機能が正常化することが期待されます。腸内環境が整うことで、腸内細菌が働き代謝が向上する、免疫力が向上する、アレルギー症状が緩和する、肌荒れや肌のターンオーバーが正常化などのの効果が期待できるため、ダイエットや美容効果にも注目されています。
しかし、腸内環境が荒れている原因が「グルテン」によるものだった場合は
グルテンフリーによって嬉しい健康効果を得られますが、他の要因による腸内環境の乱れの可能性もあるため、自分に合っているのかを見極めることが大切です。
グルテンフリーの健康効果
グルテンフリーによって、消化吸収の役割を担う腸内において変化が見られます。腸内環境が整うことで、間接的に代謝の向上や細胞の新陳代謝の向上など、健康に嬉しい効果に繋がります。
・消化不良の改善
グルテンの消化吸収が原因で起こる腹痛や膨満感が軽減され、グルテンを消化しにくい人にはグルテンフリーにすることで消化が楽になり、食後の不快感が減少します。
・腸内環境の改善
グルテンが腸内細菌のバランスを乱している場合、グルテンフリーにすることでバランスが整い、腸内環境が改善される傾向があります。グルテンによって腸が炎症を起こす場合もあり、グルテンフリーにすることで腸の健康が回復しやすい傾向があります。
・全身の健康状態の改善
腸は「第二の脳」と呼ばれるほど、免疫機能と深く関わっているため、腸内が整うと、免疫力が向上し、風邪をひきにくくなったり、アレルギー症状が緩和されやすくなります。
・肌の改善
腸内環境が改善されると、肌荒れが改善されたり、肌のターンオーバーが正常化したり、細胞の活性化が見込まれます。
・メンタルケア
腸内環境と脳は密接な関係があり、腸内が整うとイライラ感や不安感が軽減され、精神が比較的安定しやすくなります。
・ダイエット効果
グルテンフリー食がダイエットに寄与するという主張もありますが、科学的な根拠は薄いです。
ただし、小麦製品を避けることで高カロリーな食品を減らし、結果としてカロリー制限につながることも考えられますが、単純にグルテンフリーだからといって体重減少が保証されるわけではありません。
【注意点】
グルテンフリー食にはデメリットも存在します。
栄養素の偏りや食物繊維不足が懸念されるため、バランスの取れた食事を心掛ける必要があります。
グルテンの消化に問題がなく、健康な人にとって必ずしも腸内環境の改善の効果が見込めるわけではないため、実践して自分の身体と答え合わせをすることが大切です。
また、日本の食文化には多くのグルテンを含む食品(麺類や醤油など)が存在するため、完全なグルテンフリー生活は難しい場合があります。
グルテンフリーが日本人に与える影響
グルテンフリーの食事法は、主にセリアック病の治療として20世紀初頭に発展しました。
グルテンを含む食品を摂取することで小腸が損傷するセリアック病は、栄養吸収障害を引き起こす病気で、特に欧米で多く見られています。
近年では、セリアック病以外の人々にもグルテンフリーが注目されるようになり健康志向やダイエット目的でグルテンフリーを実践する人が増えています。
健康な成人を対象に、グルテンフリーが腸内細菌叢や免疫系に及ぼす影響を調査、特に腸内細菌の多様性や種類の変化に焦点を当てた研究ではグルテンを除去すると腸内細菌の多様性が減少する可能性が示唆された。
さらに、特定の細菌群(プレバイオティクスを代謝する菌)が減少もみられた。
免疫系のマーカーには顕著な改善は見られなかった。
特定の健康状態に疾いを持つ人には有効だが、健康な人にとっては細菌群の減少が見られたため、
腸内環境への悪影響も懸念される。
https://www.cambridge.org/core/services/aop-cambridge-core/content/view/3CBD83EEE134235232D49777B3115425/S0007114510001960a.pdf/div-class-title-effects-of-a-gluten-free-diet-on-gut-microbiota-and-immune-function-in-healthy-adult-human-subjects-comment-by-jackson-div.pdf Effects of a gluten-free diet on gut microbiota and immune function in healthy
adult human subjects
日本人でもグルテンに対する過敏症がある場合には、グルテンフリーによる体調改善が期待できますが、その効果は個人差が大きいとされています。
その理由は、日本の食文化は米や野菜を中心としたもので、食物繊維が豊富なため、日本人の腸内細菌は炭水化物やアミノ酸代謝に関わる機能が十分に働き、ビフィズス菌などの善玉菌が多く存在し、悪玉菌は相対的に少ないことが判っています。
さらに、日本人は欧米人に比べて比較的長い腸を持ち、繊維質の多い食品を効率よく消化・吸収する構造になっています。
日本ではセリアック病の患者は非常に少なく、遺伝的要因からもこの疾患があまり問題視されていません。そのため、グルテンフリー食が必要な人は限られているため、健康的な日本人がグルテンフリーを実践しても目立った効果を感じにくい傾向があります。
ただ、腸内環境が整うことでダイエットやアンチエイジング、メンタルケアなど心身ともに嬉しい健康効果を得られるため、「腸を整えるためには、どんな栄養素を取り入れるといいのか」を考えることはとても大切です。
まとめ
グルテンフリーは、セリアック病やグルテン過敏症を持つ人々にとって必要不可欠な食事法です。
日本人におけるグルテンフリーの効果は、腸内環境が欧米人と異なり、グルテンに対する耐性がある可能性も考えられるため、個人差・体質によって異なる影響を受けます。
健康目的で取り入れる場合は、グルテンを避けることは、栄養バランスが崩れたり、食物繊維が不足したりするリスクも考えられることを頭に入れておきましょう。
栄養バランスを考え、発酵食品や米を積極的に取り入れ、腸内細菌のバランスを意識することが重要です。
グルテンフリーは腸内環境を整える一つの方法であり、腸内環境を整え方はたくさんあります。
まずはトライしてみることも大事ですが、自分の身体と答え合わせをして
自分にあった健康への取り組み方を見つけてみてください♪