近年、ネバネバ食品と呼ばれる食品群が健康に良いと注目されています。
「ネバネバ食品」という言葉は、私たちの食卓にすっかり定着しており、日本の食文化に深く根付います。
納豆、山芋、オクラ、モロヘイヤ、メカブなど、独特の粘り気を持つこれらの食品は、単に食感を楽しむだけでなく、私たちの健康に多岐にわたる素晴らしい効果をもたらします。
ネバネバ食材はなんとなく「健康にいい」とはわかっているものの、どんな成分が何に良いかなど意外と知らない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、これらの成分が私たちの健康にどのような影響を与えるのか、最新の研究のご紹介もしながら解説していきます。
ネバネバの正体
粘り気の正体は、水溶性食物繊維やムチン、アルギン酸などの成分です。
水溶性食物繊維(多糖類)や糖とたんぱく質が結びついた糖たんぱく質で構成されていて、水溶性食物繊維は水に溶けるとヌルヌルした粘性をもちます。
ネバネバ食品には、多くの水溶性食物繊維が含まれています。
水溶性食物繊維は、消化されずに腸まで届く食物繊維の一種で、腸内で善玉菌のエサとなり、腸内の環境を整えるサポートをします。
独特なネバネバは、主に多糖類という複雑な糖の分子です。この多糖類は、植物が作り出す自然な成分で、水と結びつくことで粘性を出します。ネバネバ食品に含まれる多糖類には、様々な種類があり、それぞれが特徴的な働きを持っています。
ネバネバの正体となる主な成分
・ムチン:粘性のある糖たんぱく質の一種で、オクラや納豆に含まれています。ムチンは胃や腸を保護する働きがあり、消化器系の健康をサポートします。
・グルコマンナン:水溶性食物繊維の成分で、こんにゃくなどに多く含まれ、腸内で水分を吸収して膨らむ性質を持ち、便通の改善に寄与します。
・フコイダン:水溶性食物繊維び成分で海藻類に含まれる成分で、免疫機能をサポートする働きがあるとされています。
これらの成分は、腸内環境を整えるほか、抗酸化作用や免疫強化作用によって全身の細胞を活性化して、老化を防ぐ働きもあるとされています。
中でもムチンは、タンパク質分解酵素が豊富です。
これによってタンパク質の吸収を助け、疲労回復効果の期待できます。
また、胃粘膜を保護する作用もあるため、消化を促進、胃潰瘍や胃炎の予防にもつながります。
胃粘膜保護作用はアルコールの吸収を穏やかにしますし、肝機能や腎機能を強化する働きもあるので、肝臓が気になる人にもおすすめな食材です。
健康効果
ネバネバ食材の健康効果として、腸内環境を整え、胃を保護したり、消化酵素により弱った胃腸をサポートし消化吸収を促進するだけでなく、エネルギー代謝を促すビタミンB群などの栄養素が多いため、疲労回復・滋養強壮といった相乗効果も期待できます。
- 消化機能の改善
ムチンは消化器官の粘膜を保護し、消化酵素の働きを助けるため、胃の健康をサポートします。胃炎や胃潰瘍の予防が期待できます。ムチンやグルコマンナンは腸内での善玉菌を増やし、腸内フローラのバランスを整え、中でもムチンは腸壁を保護するため、消化器官の機能改善に役立つことが判っています。 - 血糖値とコレステロールの管理
水溶性食物繊維は糖の吸収を遅らせるため、食後の血糖値の急上昇を防ぎます。また、コレステロールの排出を促進する作用も報告されています。 - 免疫力向上
ネバネバ成分の一部には抗酸化作用があり、体内の炎症を抑えることで免疫力を向上させる効果が期待されています。活性酸素の働きを抑制する抗酸化物質は、細胞の活性化、新陳代謝の向上により細胞を保護し、健康的な体を維持する効果もあります。 - 腸内環境の改善
ネバネバ食品に含まれる水溶性食物繊維は、腸内の善玉菌を増やし、腸内フローラを整える働きがあります。便秘や下痢の改善にも効果的です。中でも、海藻に多く含まれるグルコマンナンは腸内で水分を吸収し膨張するため、腸内の毒素の排出が促されるため。便通を促進し便秘予防に効果的です。
腸内が整うことで、間接的にダイエットや美肌効果もあります。
筑波大学の2023年に発表された研究では、納豆摂取が動脈硬化を抑制するメカニズムを明らかにしました。
納豆は腸内細菌叢を変化させ、炎症性サイトカインの発現を抑制し、動脈硬化を進行させる炎症反応を緩和します。
また、ビタミンK2を豊富に含む納豆が特に効果的で、抗炎症性サイトカインの増加も確認されました。この結果は、心血管疾患の予防に納豆が有用である可能性を示唆しています。
https://www.tsukuba.ac.jp/journal/medicine-health/20231220140000.html 納豆摂取による動脈硬化抑制メカニズムを解明
オクラ・なめこ・モロヘイヤ・ポン酢のオクラサラダの食後血糖値の上昇について調べた研究では(2022年に日本で発表された)
20 歳以上の過去に糖尿病と診断されたことがない及び現在糖尿病と診断されていない健康な男女 15 名(男 2 名,女 13 名)を対象に
・基本食(うどん・ご飯・甘煮・ふりかけ)
・基本食+難消化性デキストリン
・大根サラダ+基本食(大根・きゅうり・ブロッコリー・トマト・人参・ポン酢)
・オクラサラダ+基本食(オクラ・なめこ・モロヘイヤ・ポン酢)被験者に対象食品を含む食事を摂取させ、食後の血糖値を30分ごとに測定。対象食品の有無や種類を変えて複数回の実験を実施
血糖値の変化をグルコース曲線下面積(AUC)を用いて評価し、粘性物質であるペクチンの影響を統計的に解析したところオクラ、モロヘイヤ、なめこを摂取した群では、食後血糖値の上昇が顕著に緩やかになることが確認された。特にモロヘイヤに含まれる粘性ペクチンが、グルコース吸収を遅らせる作用を持つことが示唆された。AUCの比較において、これらの食品を摂取した群は、対照群に比べて血糖値の総上昇量が約20%低下した。粘性の高い食品ほど、血糖値抑制効果が強い傾向があった。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tonyobyo/65/12/65_635/_pdf/-char/ja?utm_source=chatgpt.com 食物繊維が食後血糖値に及ぼす影響
ネバネバ成分の水溶性食物繊維の健康効果として、食後の血糖値の急上昇を防ぐことがわかりました。
食後の血糖値の急上昇を防ぐことは健康はもちろん、ダイエットにも効果的なことが分かります。
糖を取り込むインスリンの働きを正常化させるため、余分な体脂肪を貯めることが防ぎやすくなります♪
【注意点:ネバネバ食品の注意点】
ネバネバ食品を過剰に摂取すると、胃腸が過度に刺激され、消化不良や下痢を引き起こす場合があります。特に胃腸が弱い方は注意が必要です。加工されたネバネバ食品、特に市販の納豆などは塩分や添加物が含まれている場合があるため、摂取量には注意が必要です。
さらに山芋や納豆はアレルギーを引き起こす可能性があります。特に山芋は口の中のかゆみや喉の不快感を訴える方も少なくありません。
ネバネバ食品の取り入れ方
納豆、オクラ、山芋など、様々な種類がありますが、どのように食事に取り入れれば良いのか
いくつかご紹介します。
・納豆: 日本を代表するネバネバ食品。納豆菌が作り出す酵素が、血栓を予防する効果も期待できます。
・オクラ: ビタミンKが豊富で、骨の健康に良いとされています。
・山芋: ムチンが胃壁を保護し、消化を助けます。
・海藻類: フコイダンが免疫力を高める効果が期待できます。
・モロヘイヤ: β-カロテンの含有量、ペクチンが豊富で、血糖値の上昇を抑制する効果が期待できます。
・なめこ:整腸作用の水溶性食物繊維で腸の調子を整え、免疫力を高めてくれるβ-グルカンも含まれます
ネバネバ感をダイレクトに味わいたい場合は、生で食べるのがおすすめです。
水溶性食物繊維は、熱に弱く、加熱しすぎると効果が減ってしまう傾向があるため、お湯で茹でると栄養素が逃げてしまうので、加熱する際は蒸すかスープとして汁ごと食べるのがおすすめです♪
ネバネバ食品を取り入れるなら、朝食がおすすめです。
朝食に食べることで、昼食時の血糖値にも好影響を及ぼす「セカンドミール効果」も期待できます♪
一般的に、ネバネバ食品と相性が悪いと言われる組み合わせはないので、気軽に取り入れることができ、旬の食材を選ぶことで、より栄養価の高いネバネバ食品を摂取できます。
毎日少しずつでも、継続して食べることを意識してみてください♪
まとめ
ネバネバ食品は食物繊維を多く含み、胃の働きや腸内環境を整え
健康に良い成分を多く含んでいるため、積極的に取り入れたい食材です。
ただし、食べ過ぎやアレルギーには注意が必要のため、
食生活の中で、今までの食卓に1日1品程度追加してみてください♪