

「冬は寒いから代謝が上がって痩せやすい」──そんな話を聞いたことはありませんか?
寒い環境下においては、体温調節メカニズムによって熱を生み出すため代謝が上がると言われていますが、“寒さ”の環境によって、代謝の反応が異なっています。
本記事では、冬は代謝が上がりやすいのか?という身体機能のメカニズムにも触れながら
本記事を解説していきます。
体が“寒さ”にどう反応するか
人間は体温を一定に保つために、外気温が低いと熱(=エネルギー)を作る仕組みを動員します。
主に次の2つです。
震えがない場合:褐色脂肪組織が活性化して熱を作ります。
これにはホルモン(ノルアドレナリンなど)とミトコンドリアの働きが関与し、褐色脂肪組織の活動が冬に高くなることを示すものが増えています。
震えありの場合:筋収縮で熱を生み出し、短期的に大量のエネルギーを消費します。
最近の研究は、強い皮膚冷却下では震えや心筋代謝が全体の熱産生を大きく押し上げることを指摘しています。
この2つの組み合わせや程度が、
人によって、条件によって変わるため「冬に代謝が上がる/上がらない」の結果が分かれます。
ヒトにとって環境というものは、とても影響が大きいです。
一定の暖かい環境条件(高性能な暖房設備のおかげで、常に快適な温度で過ごしている)では、冬と夏でBMRに差がないというデータもあります。
つまり、室内が暖かければ身体が体温維持のために熱産生をする必要がなくなり、基礎代謝の上昇が抑制されてしまう可能性が高いです。
一方で、冬場に屋内外での冷刺激下で実測を行うと、
冬の方が冷応答でのエネルギー消費が高く、冬の方が褐色脂肪組織の活動反応が強い傾向があります。
褐色脂肪細胞は脂肪を燃焼させて熱を産生する働きがあり、
16℃~19℃などの、震えが起こるか起こらないかの程度の寒さによって、この褐色脂肪細胞が活性化し、エネルギー消費量が増加することが示されています。
オランダ・マーストリヒト大学の Wouter D. van der Lans ら によるもので、
人間が「寒さに繰り返しさらされる」ことで、体の褐色脂肪(BAT)がどう変化するかを調べた研究
対象者:健康な成人 17 名(男女)
期間:10 日間
条件:参加者は防寒服を着ず、軽装で10 日間、毎日 6 時間 15〜16 ℃ の部屋に滞在
目的:寒冷順化で褐色脂肪組織(BAT)や代謝がどう変化するかを検証・褐色脂肪(BAT)活性が顕著に上昇、寒冷順化後、BAT の「検出可能な体積」が 平均 37 % 増加
BAT 活動量(FDG 取り込み量)も有意に上昇。
・非震え性熱産生(NST)が上昇 NST は 10.8 % → 17.8 % へと上昇(約 65 % 増)寒さに対して震えずに熱を出せるようになった。
エネルギー消費の「質」が変化したことを意味します。
・安静時代謝(RMR)はほぼ不変 「基礎代謝」は大きく変化しませんでした。
→ つまり、「寒冷順化で勝手に代謝が上がる」というより、冷刺激に対して燃えやすくなる (反応性が高まる)と理解するのが正確です。人間の体は思った以上に短期間で「燃える冬仕様」へと適応できることが判った。
短期でもOK 10 日間で変化するため、週2〜3 回でも「冷刺激」の取り入れは効果的である。
さらに、筋肉との連動 筋肉が出すミオカイン(※骨格筋が動くことによって分泌される、生理活性物質)がBAT活性を助ける。筋トレ+軽い冷刺激が◎。
軽い寒さで十分、 15〜17 ℃ 程度の室温でもBATは反応する。冷水シャワーや朝の散歩でも効果的。https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC3726172/?utm_source=chatgpt.com Cold acclimation recruits human brown fat and increases nonshivering thermogenesis
他の研究では
褐色脂肪細胞の活性化は、エネルギー代謝だけでなく、血糖値やインスリン感受性の改善にも寄与する可能性が指摘されており、肥満や2型糖尿病の新しい治療戦略としても注目を集めています。
つまり、定期的に体を寒さにさらすことで、脂肪を燃やして熱に変えるという強力なダイエット機能を稼働させることができる体質に変化しているのです。
身体本来の機能として代謝が上がりやすい「隠れたダイエットシーズン」なのかもしれません。
寒冷順化
人は、寒さに繰り返しさらされることで、徐々にその環境に適応していきます。
これを寒冷順化と呼びます。これは単なる一時的な代謝の上昇ではなく、体質そのものが「冬仕様」に変わっていくプロセスです。
つまり、短期的には「震え」が起きやすくなりますが、数週間かけて体は“震えずに熱を作る”方向に進化していきます。これが非震え性熱産生です。
ポイントは、この熱産生の主役が「褐色脂肪」と「筋肉」であるため、筋肉が多い人ほど寒冷順化しやすく、褐色脂肪細胞の活性化による代謝の向上の影響を受けやすいと考えられます。
代謝を“上げる”より「落とさない」
寒い季節の体重増加(11〜1月)はデータで観察されており、平均で数百グラム〜1kg程度の増加がしばしば見られます。
消費カロリーの減少や高カロリー食品の摂取増が主要因である傾向が高く、
冬だから代謝が下がるのではなく、冬の“行動変化”が増量の大きな要因だと考えられます。
暖かい環境を提供する暖房設備のおかげで、私たちは常に快適な温度で過ごしています。
これにより、身体が体温維持のために熱産生をする必要がなくなり、基礎代謝の上昇が抑制されてしまう、つまり近年では寒冷順化の機会を失っていると考えられます。
また、冬は活動量の低下(運動不足)がみられやすく、
寒いと外に出るのが億劫になり、日常生活の活動量(非運動性熱産生:NEAT)も減少するので、消費カロリー全体で見ると、たとえ寒い環境で基礎代謝の上昇しても、活動量減少による消費の低下が上回る傾向があります。
さらに忘年会や正月など、イベントで高カロリー・高脂肪な食事を摂取する機会が増加し、摂取カロリーが消費カロリーを大きく上回ってしまい体重増加につながってしまいます。
短期で大幅に代謝を上げるよりも、「寒さで減りがちな活動量や筋量を守る」方が簡単で効果的です。
冬の代謝と寒冷順化を味方につけるには「プチ寒冷刺激」で順化を促してみましょう🎶
- 意識的な環境温度の調整 極端な寒さは危険ですが、家の中で厚着をしすぎず、少し「ひんやり」と感じる程度の環境(例えば、暖房温度を少し下げる、薄着で家事をするなど)を意図的に作ることで、褐色脂肪細胞の活性化と寒冷順化を促します。
- 体を動かし筋温を上げる 運動は熱を生み出し、体温の約40%を作る筋肉を刺激します。ウォーキングやスクワットなど、筋肉を意識した運動は血流を改善し、代謝向上につながります。
- 体を温める食材の活用 生姜、根菜類、唐辛子などの、体内で熱を生み出す食材を積極的に摂り、内側から熱産生をサポートしましょう。
他にも顔や手を冷水で洗うなどの“軽い”冷刺激を繰り返すと、非震え性の適応を促す可能性があります。
※強い震えが出るほどの冷却は避ける、
心血管疾患・甲状腺疾患などがある人は、寒冷刺激や大きな運動負荷でリスクが上がることがあるため、行動前に医師に相談しましょう。
まとめ
「冬=代謝が上がる」は条件付きの真実です。
寒さに実際にさらされるなら代謝は上がるが、暖かい室内生活なら変わらないため、ある程度寒い環境に身を置くことで、体の内側が働きます。
しかし、それ以上に寒い季節は日照時間も減り活動時間も減少傾向があるため
できるだけ、30分ごとに立つ、10分歩くタイマーを導入、一駅歩くなど
小さな動きや運動を積み重ねてみましょう。
