ダイエットには、食事や運動だけではなく、睡眠が極めて重要な役割を果たしていることはご存じでしょうか?
十分な睡眠を確保することは、休養することで身体の内部が回復したり、脂肪燃焼や食欲のコントロールが改善されたり、多くの健康効果があります。
忙しい現代では、つい睡眠を疎かにしまいがちですが、
睡眠を大切にすることで健康的なダイエットに取り組むことにも繋がります。
本記事では、睡眠とダイエットの関係を解説し、睡眠習慣を取り入れるための具体的なアドバイスをお届けします。
睡眠不足がダイエットに与える悪影響
睡眠中は、身体が休息・回復している時間帯で、これはホルモン分泌に影響します。
特に、睡眠不足になることで、体内の食欲をコントロールするホルモンバランスを乱します。
・グレリン:空腹感を刺激するホルモン。睡眠不足になると、このホルモンの分泌が増加し、食欲が増進されます。
・レプチン:満腹感を伝えるホルモン。十分な睡眠を取らないと、レプチンの分泌が減少し、満腹感を感じにくくなります。
2つのホルモンに大きな影響を与え、このホルモンが乱れることで、過食や高カロリーな食べ物への欲求が高まってしまい、ついつい食べてしまう、口がさみしくなる、など体重増加につながるリスクが高くなります。
さらに、基礎代謝にも悪影響を及ぼします。
基礎代謝が低下すると、体は効率的にエネルギーを消費できなくなり、脂肪の燃焼が妨げられます。
同じ食事量でも体重が増えてしまう、、という場合は基礎代謝が落ちている可能性も考えられます。
長期的な睡眠不足は、インスリン感受性の低下を引き起こし、糖質の代謝が不十分になり、脂肪が蓄積されやすくなってしまいます。
一般的に、1日6〜8時間の睡眠が理想的です。
睡眠の時間を確保することで、体は十分に回復し、ホルモンバランスや代謝機能が正常に保たれます。また、ストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を抑える効果もあるため、ストレスによる過食や脂肪の蓄積を防ぐことも期待できます。
睡眠時間と脂肪減少
睡眠時間がダイエットの効果に与える影響を調査した研究をご紹介します。
アメリカのシカゴ大学で行われ、被験者を2つのグループに分けて、睡眠時間の違いが脂肪の減少量にどう影響するかを比較しました
実験期間は2週間で、全体のカロリー摂取量と身体活動量は同じ条件下に置かれました。
被験者は全員、カロリー制限をした食事(1日あたりの摂取カロリーを管理)を与えられ、運動量も統一されていました。
2つのグループの違いは、睡眠時間のみ
1つのグループは8.5時間の睡眠を取り、もう1つのグループは5.5時間の睡眠に振り分けました実験の結果、8.5時間の睡眠を取ったグループは、5.5時間の睡眠しか取らなかったグループに比べ、55%も多くの脂肪を減少させることができたことが明らかになりました。
・短時間睡眠のグループでは、同じカロリー制限をしていても、脂肪の減少が少なく、筋肉量が多く減少してしまうという結果が出ました。
・一方で、十分な睡眠を取ったグループは、筋肉量をより維持しながら、脂肪を効果的に減ることが示唆された。
短時間睡眠のグループでは、食欲を刺激するホルモンであるグレリンが増加し、脂肪を燃焼させる成長ホルモンの分泌が減少しました。また、睡眠不足によってインスリン感受性が低下し、体が脂肪を効率よく燃焼させることができなくなったと考えられます。
代謝の低下も影響しています。短時間睡眠では、エネルギー消費が低下し、脂肪が体に蓄積しやすくなります。
Insufficient sleep undermines dietary efforts to reduce adiposity 2020 https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20921542/この研究結果から、睡眠時間は6時間以上摂ることはダイエットに効果的ということがわかり
食事や運動だけでなく、睡眠も意識することで脂肪燃焼効果も期待できます。
良質な睡眠とは
睡眠時間の確保は、大前提ですが、睡眠の環境を整え良質な睡眠を促すことで
より身体の機能回復や代謝の向上が期待できます。
睡眠の質を向上させるほど、疲労から心身を回復させる効果があります。
起きてスッキリしている、気分が前向きなどの精神面の安定にも役立ち、体内の代謝活動促進・自律神経のバランスを整えてくれます。
自分が良質な睡眠が取れているという正確なものはありませんが一般的な目安をお伝えします!
3つ以上当てはまれば◎です♪
①朝、すっきりと目覚めることができる
目覚まし時計が鳴る前に自然に目が覚めることが多く、目覚めた後もスッキリした感覚を感じることが多いです。寝起きに強い眠気が残る場合や、布団から出るのが難しいと感じる場合は、睡眠の質が低下している可能性があります。
②日中に眠気や疲労感を感じない
日中に強い眠気やだるさを感じることが少なく、集中力を保って活動できている場合、十分な睡眠が取れていると考えられます。
③夜中に目が覚めることが少ない
一晩を通して中途覚醒(夜中に目が覚めてしまうこと)が少なく、目覚めてもすぐに再び眠りに戻れる場合、深い睡眠ができている証拠です。夜中に何度も目が覚めたり、再び眠るのに時間がかかる場合は、睡眠の質が低下している可能性があります。
④一定の睡眠パターンを維持できている
毎晩ほぼ同じ時間に寝て、同じ時間に起きる規則正しい睡眠リズムを保てている場合、体内時計が正常に働いているサインです。就寝・起床時間が不規則だったり、週末に大きく寝る時間がずれる場合、体内時計の乱れが原因で、睡眠の質が低下することがあります。
⑤翌朝、気分が良い
良質な睡眠を取れている場合、朝起きたときに気分が良く、精神的にも安定していると感じやすいです。睡眠は精神の健康にも直結しており、十分な休息が取れていないと感情の起伏が激しくなることがあります。
⑥日常的なストレスや身体的負担に対処できる
睡眠がしっかり取れていると、日常のストレスや身体的負担に対する耐性が高まり、心身の調子を保ちやすくなり、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑え、ストレス管理能力を向上させます。
⑦夢をよく見るが覚えていない場合もある
夢を見ても、寝起きにそれをほとんど覚えていない場合、深い眠り(ノンレム睡眠)が適切に取れている可能性があります。夢を覚えていること自体は自然なことですが、夢の内容をはっきり覚えていて、何度も夢で目覚める場合は、睡眠が浅くなっている可能性もあります。
いかがでしょうか?
良質な睡眠を意識することで、身体の内部から健康になり
基礎代謝、身体の機能がしっかりと働くため、太りにくい体質になりやすい傾向があります。
睡眠環境の見直し
良質な睡眠には、眠るまでの行動も関係します。
睡眠直前に脂っこいものを食べると消化で内臓がフル稼働するので休息できす、身体の回復を見込めません。
良質な睡眠をとるための、方法をお伝えします♪
・寝る1〜2時間前にはスマホやパソコンを避ける
ブルーライトは脳を刺激し、メラトニン(睡眠を促すホルモン)の分泌を抑制します。
・リラックスするためのルーチンを作る
お風呂に入る、ストレッチをする、深呼吸や瞑想を行うなど、心身をリラックスさせる習慣を作りましょう。
・就寝時間と起床時間を一定にする
毎日同じ時間に寝て、同じ時間に起きることで、体内時計が整い、スムーズに眠りに入れるようになります。
・寝室環境を整える
快適な寝室環境は、質の高い睡眠に欠かせません。温度や騒音、光の管理を行うことで、眠りを深めることができます。快適な睡眠を取るために18〜22℃程度が理想とされています。
・静かな環境を保つ
騒音は睡眠を妨げる大きな要因です。静音性の高い寝具を選ぶか、耳栓やホワイトノイズマシンを使用するのも効果的です。
・就寝前の2〜3時間は食事を控える
消化活動が睡眠を妨げるため、夕食は就寝の3時間前には済ませるようにしましょう。
・カフェインやアルコールを避ける
カフェインは6時間以上作用が続くため、夕方以降は避けるのがベストです。また、アルコールも深い眠りを妨げる原因となります
もちろん、日中の過ごし方や食事の摂り方でも良質な睡眠を促すことができます。
ただ、一度に全部を意識することでストレスになる要因になるためじぶんが取り組みやすい方法から日常に取り入れ、まずは習慣化していきましょう。
まとめ
十分な睡眠を確保することは、ダイエットにも繋がり健康にも欠かせない要素です。
睡眠不足はホルモンバランスや代謝に悪影響を与え、食欲の増加や脂肪の蓄積を引き起こすことが科学的にも証明されています。
健康的なダイエットを目指すなら、食事や運動と同じくらい、睡眠にも注目して習慣を見直すことが大切です。
良質な睡眠を得るための環境づくりや就寝前の習慣を整え、日々の生活に取り入れてみましょう。
質の高い睡眠は、心身全体の健康にも良い影響をもたらしてくれます。
一度にすべてを意識するのではなく、自分が取り組みやすい睡眠へのアプローチ方法から試してみましょう♪