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2025.05.23

肋骨が開きっぱなしの原因と身体への意外な影響

なんだかウエスト周りがすっきりしない、姿勢が悪いとよく言われる、疲れやすく疲れがなかなか取れなくなった原因は、もしかしたら「肋骨の開き」かもしれません。

普段あまり意識することのない肋骨ですが、実は私たちの身体にとって非常に重要な役割を担っています。

肋骨は、私たちが呼吸するたびに柔軟に動いている部分で、正常な範囲での動きは問題ありません。
しかし、肋骨が通常よりも開いた状態になると、姿勢の悪化や呼吸の妨げとなる可能性があります。

肋骨が本来の位置から外れて開いたままになると、見た目の変化だけでなく、内臓や筋肉、呼吸などにもさまざまな影響を及ぼします。

今回は「なぜ肋骨が開きっぱなしになるのか」「身体にどんな影響があるのか」を解説していきます。

「肋骨の開く」とは?

肋骨は、肺や心臓などの大切な臓器を守るだけでなく、呼吸や姿勢の維持にも深く関わっています。
通常、息を吸うときに肋骨は広がり、息を吐くときに自然と元の位置に閉じる動きを繰り返しています。

しかし、さまざまな要因によって、この肋骨が広がりっぱなしになり、うまく閉じない状態になることがあります。
一般的には、みぞおち付近の肋骨の下角が90度以上開いていると、肋骨が開いている状態です。

多くの場合、長時間にわたる不適切な姿勢が主な原因として挙げられ、外側に広がったまま、固定されてしまうことがあります。
この状態が「肋骨が開きっぱなしになっている」ということです。

【肋骨が開く主な原因】
肋骨が開く原因は、一つではありません。いくつかの要因が複合的に絡み合っていることが多いです。

・間違った姿勢
「良い姿勢」を意識しすぎて胸を張りすぎると、かえって腰を反り、肋骨が前に突き出てしまうことがあります。長時間のデスクワークやスマホ操作による猫背、反り腰も肋骨の開きにつながります。

・妊娠や出産による腹圧の低下
妊娠中はお腹が大きくなることで肋骨が広がり、出産後もその状態が戻りにくい場合があります。

・腹筋や肋骨周囲の筋肉(腹斜筋・横隔膜など)の弱化
体幹を支える腹横筋などのインナーマッスルが弱いと、肋骨周りの筋肉がしっかりと肋骨を締められなくなり、開きやすい状態になります。

・特定の筋肉の硬直
首の斜角筋や胸周りの筋肉が硬いと、肋骨が引き上がったまま固まり、開きっぱなしの原因にもなります。

・浅い呼吸の習慣化
ストレスや習慣によって呼吸が浅くなると、肋骨が十分に動かず、開きっぱなしで固まってしまうことがあります。特に、浅い呼吸を繰り返すことや、息が吐ききれていないと、肋骨が閉じにくくなります。

無意識のクセを見つけることは大変です。
座るときに背もたれにもたれる、立っているときに片足重心になってしまう、腕をよく組むなどの日常のクセも、肋骨の開きを助長してしまいます。

筋肉の弱化や姿勢のクセが積み重なることで、だんだん「その状態が普通」になってしまうため、意識して改善しない限り、自然には戻りにくくなっています。
肋骨の開きを防ぐためには、まず姿勢と呼吸法に着目してみましょう。

肋骨が開くことで身体に与える影響

肋骨の開きは、見た目の問題だけでなく、身体の健康に悪影響を及ぼす可能性があり、
主な影響としては、呼吸がうまく行えず慢性的に疲れを感じやすくなります。

肋骨が適切に動かないと、肺が拡張できず空気の取り込みが減ってしまい、効率的な酸素交換ができず、身体の機能の低下を引き起こします。

また、呼吸不足は酸素供給に影響を与え、脳や身体に十分な酸素が届きにくくなります。
肋骨が開きっぱなしのままだと姿勢が悪くなり、背中や肩の痛みを引き起こしたり、他の身体の部位にまで影響を及ぼす可能性が考えられます。

ボディラインの崩れ

  • くびれがなくなる、寸胴体型に: 肋骨が外側に開いたままだと、ウエストの幅が広がり、くびれが目立たなくなってしまいます。
    せっかくダイエットしても、なかなかウエストが細くならない…という方は、肋骨の開きが原因かもしれません。
  • ぽっこりお腹: 肋骨が開くことで、内臓が本来の位置から下がりやすくなり、お腹が前に突き出して見える「ぽっこりお腹」の原因になることがあります。

姿勢の悪化

  • 反り腰、猫背、巻き肩: 肋骨の開きは、姿勢の崩れと密接に関係しています。
    肋骨が前に突き出ることで反り腰になりやすかったり、胸が張れずに猫背や巻き肩を引き起こしたりすることがあります。
  • 肩こり・腰痛: 肋骨が適切に閉じていないと、姿勢が悪化しやすくなり、肩や背中の筋肉が緊張し、肩こりや腰痛が発生します。
    特にデスクワークなど、長時間同じ姿勢でいることで、筋肉がこわばり、酸素が十分に届かず、痛みが回復せずに慢性的な痛みを生じる方も多くみられます。

呼吸が浅くなる、自律神経の乱れ

自律神経の乱れ: 浅い呼吸は、自律神経のバランスを崩すことにもつながります。これにより、ストレスを感じやすくなったり、体調不良を引き起こしたりする場合があります。

横隔膜の機能低下: 肋骨が開きっぱなしだと、呼吸の主要な筋肉である「横隔膜」が十分に機能しなくなります。これにより、深い呼吸がしづらくなり、呼吸が浅くなる傾向があります。

疲れやすさ、代謝の低下: 呼吸が浅くなると、体内に取り込める酸素の量が減り、疲れやすくなったり、血行不良や代謝の低下を招いたりすることがあります。結果として、体が脂肪を溜め込みやすくなり、太りやすい体質になる可能性も。

肋骨の開きを改善するためのアプローチ

肋骨の開きを改善するためには、主に姿勢と呼吸を中心にアプローチが必要です。

◆深い腹式呼吸を意識する◆
息をゆっくりと深く吸い込み、お腹を膨らませ、そしてゆっくりと長く吐ききることを意識しましょう。
吸う意識よりも、長く細く息を吐ききることを意識させることで、横隔膜の動きを活性化できます。
また、息を吐ききることで、肋骨が自然と閉じる感覚をつかめます。
日常において意識的に深呼吸する時間を持つことで、呼吸が浅くなるのを防ぎ、酸素を体全体に供給しやすくします。

◆姿勢の改善◆
骨盤を立て、背筋を伸ばし、肋骨を締めるように意識します。
胸を張りすぎるのではなく、背中を高く上から引っ張られているイメージで意識してみましょう。

◆体幹を鍛える◆
腹横筋などのインナーマッスルを強化することで、体幹が安定し、肋骨を正しい位置に保ちやすくなります。ドローインをキープするだけでも効果的です。

◆ストレッチとエクササイズ◆
肋骨周辺の筋肉の硬直をほぐすストレッチで肋骨周りの柔軟性を高めること、呼吸に関連する横隔膜や肋間筋をターゲットにした運動がおすすめです。
背中を丸めたり反らしたりするキャット&カウ、脇腹を伸ばすストレッチなども効果的です。

◆日常生活での意識◆
座り方、立ち方を見直す: 長時間同じ姿勢でいる場合は、こまめに体を動かしたり、肋骨の間が詰まらないような姿勢を意識したりする習慣をつけましょう。
また、呼吸を深く、長く吐くことを常に意識してみましょう。

日本で発表された胸椎を伸ばすストレッチが呼吸機能や胸郭の柔軟性にどのように影響するのかを明らかにすることを目的とした研究では

対象者:健常な若年男性15名(平均年齢24歳)
ストレッチ方法:ストレッチポール(ハーフ)を背中の肩甲骨の下に当て、仰向けでセラピストが3分間垂直に圧をかける

測定項目:胸椎の後弯角度(猫背の程度)・呼吸機能(肺活量 %VC、一秒量 FEV)・胸郭拡張の差(胸部がどれだけ広がるか)・筋肉の硬さ(肋間筋と脊柱起立筋の弾性率)これらをストレッチ前後で比較し、統計的に有意な変化を分析しました。

■結果
肺活量(%VC):ストレッチ後に有意に増加(90.0% → 91.3%)
一秒量(FEV):変化なし
筋肉の柔軟性(弾性率):上部肋間筋:18.9 → 14.7 kPa(柔らかくなった)、下部肋間筋:17.6 → 13.8 kPa、脊柱起立筋:18.1 → 13.1 kPa
胸郭の拡張差:腋窩部(脇の下付近):5.5 → 6.2 cm、剣状突起部(みぞおちの上):6.7 → 7.7 cm

胸椎ストレッチによって、肺活量が向上がみられ、胸椎自体の形状や姿勢(後弯角度)は変わらなかったが、肋間筋・脊柱起立筋の柔軟性が大きく改善し、それにより胸郭が広がりやすくなった。
特に、胸郭の上部(腋窩・剣状突起部)での拡張差が増したことから、呼吸に必要な肋骨の動きが改善されたと考えられる。

従来は肋間筋のストレッチだけが重視されていたが、この研究は「背骨を動かすストレッチ」も呼吸改善に効果的であることが証明された。

まとめ

肋骨の開きは、見た目だけでなく、呼吸の質や姿勢、さらには全身の健康にまで影響を及ぼします。

ただの「姿勢のクセ」ではなく、全身のバランス・見た目・健康にまで影響しています。
鏡で自分の体の正面と側面を観察して、肋骨が目に見えて突出している、腕を上げた時に肋骨が通常より外側に広がっているか、など肋骨の開き状態を確認してみましょう。

姿勢を常に意識し、背中を丸めたり前のめりの姿勢ではなく、骨盤を立たせ、背骨が上に引っ張られているような意識を持つ姿勢を保ち続けることで改善が早まります。

また、専門家の指導の下での理学療法を受けることで、結果を得ることもできます。

ただ、意識がストレスになってしまっては、身体は整いません。
無理のない意識を日常生活にプラスαして、習慣にしていくことが大切です。

肋骨の開きの改善には時間がかかりますが、必ず変化は起きるので、根気よく続けてみましょう!

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