冷え性の改善、肩こりの解消、肌ツヤアップ…など、メリットはたくさんあり、
一般的に「血行が良くなる=健康にいい」と認知されています。
でも実は、血行が良くなることで、
一時的に関節が痛くなったり、頭痛がしたりすることがあるのをご存じでしょうか?
血行が良くなることで逆に不調を感じる人も一定数いらっしゃいます。
本記事では、血行改善によって起こる身体の変化について、身体の仕組みととも解説していきます。
血行が良くなると感じる不快感
血行が良くなること自体は多くの場合において健康に良いとされていますが、特定の条件下や体質・既往症によっては、デメリットや一時的な不快な反応が起こることもあります。
一見逆のように思えるこの反応ですが、意外にも感じる人は多いです。
代表的な不快としては「関節の痛み」「頭痛」が考えられます。
【関節が痛む要因】
① 滞っていた老廃物が動き出す
長年、血流が滞っていた関節や筋肉には、乳酸や老廃物が蓄積していることがあります。
血行が改善されることで、それらが一気に流れ出し、一時的に痛みや違和感を感じることがあります。
② 炎症の修復反応が一時的に強まる
血流が増えると、傷んでいた組織の修復活動が活発になります。
このとき、体の免疫や炎症反応も一時的に強くなることで、痛みとして感じる場合があります。
③ 神経が一時的に敏感になる
血流とともに神経への栄養も増えることで、神経の感度が一時的に上がり、普段感じなかった刺激が痛みに感じられることも。
【頭痛が発生する要因】
① 血管の急激な拡張による片頭痛
血流アップにより、脳の血管が急に広がると、片頭痛が誘発されることがあります。
血管が拡張すると、特に片頭痛体質の人では、神経が刺激されて痛みを誘発する傾向があり、特にサウナや長風呂など、急激な温熱刺激が引き金になることが多いです。
② 自律神経のバランス変化
血行改善で副交感神経が優位になると、体はリラックスしますが、そのギャップで軽い頭痛やふわふわ感を感じることもあります。特にストレスが強かった人や、急にリラックスする環境になった人に起こりやすい反応です。
2002年の研究では、慢性緊張型頭痛(CTTH)患者における僧帽筋(肩の筋肉)の筋血流を、健常者と比較して調査しました。
方法:皮膚の上から近赤外分光法(NIRS)を用いて筋血流量を測定。被験者の僧帽筋(非利き手側)に挿入し、安静時、静的運動(最大力の10%)開始から15分と30分後、運動終了後15分と30分後に透析液を採取した。
対象:慢性緊張型頭痛患者16名と健常対照者17名
結果:慢性緊張型頭痛の患者では、軽度の運動中およびその後の回復時における筋血流の増加が有意に低いことが確認され、安静時の血流量については、患者群と対照群の間に差はなかった筋肉の代謝需要が増す状況でも血流が十分に増えず、筋虚血(血流不足)によって痛みが持続する可能性が示唆されました。In vivo evidence of altered skeletal muscle blood flow in chronic tension-type headache https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11844732/
その他の変化も引き起こす可能性があります。
【めまい・ふらつき】
血行が良くなると、血管が拡張して血圧が下がることがあります。
特に普段から低血圧ぎみの人は、以下のような症状が出ることもあるため、
低血圧の方は一気に体を温めすぎないこと意識しましょう。
・お風呂上がりに立ちくらみ
・マッサージ後にぼんやりする
・岩盤浴中に気分が悪くなる
【眠気・だるさが出る】
血流がよくなると、副交感神経(リラックスモード)が優位になり、筋肉が緩み脱力する傾向があります。
自律神経の乱れが一時的に悪化することもあり、血行促進が強く働くと、交感神経と副交感神経のバランスが一時的に乱れやすくなり、その結果、「眠くなる」「だるくて動きたくない」という反応が出ることもあります。
特にマッサージやお風呂の後に感じやすい症状ですが、これは 身体が回復しようとしている兆しです。
この場合、無理に動かず、少し休むことで代謝や免疫も整いやすくなります。
【お通じやガスが増える(腸が動き出す)】
血行が良くなると、内臓の働きも活発になり、その中でも特に変化を感じやすいのが「腸」です。
便通がスムーズになる、溜まっていたガスが出る、一時的にお腹がゆるくなるといった反応が出ることもあります。腸のデトックスが進んでいる証拠なので、水分補給と軽い運動でさらに腸内活動を活性化させましょう!
【肌がかゆくなる】
血流が毛細血管まで届くことで、皮膚表面が温まり、かゆみを感じやすくなる人もいます。
とくに乾燥肌やアトピー体質の方は、この変化を強く感じることがあります。
血行が活発になることで、毛細血管が拡張し、ヒスタミンと呼ばれる物質が分泌され、かゆみ・赤み・じんましんのような反応を引き起こすこともあります。
保湿をしっかりしながら様子を見ましょう。強く掻かないように注意しましょう!
【汗や体臭が一時的に強くなる】
血行改善=老廃物の排出が促進されます。
その過程で、今まで溜め込んでいた老廃物や毒素が、汗や皮脂を通じて出てくることがあり、汗の量が増える、体臭が一時的に強くなるといった反応が出ることもあります。
しっかり水分を摂って、代謝を高めてあげましょう。
【感情が揺れやすくなる】
血流が脳にもしっかり届くようになると、自律神経やホルモンのバランスが整い始めます。
精神面のコントロールがゆるみ、涙もろくなったり、些細なことでイライラしやすくなる傾向もあります。心のデトックスの一つとも言われており、血行が整うことで精神面でも影響があります。
血行促進を避ける場合
状況 | 理由 |
---|---|
発熱・感染症 | 炎症が広がる恐れがある |
急性のケガや炎症 | 回復を妨げる可能性あり |
重度の心疾患・脳疾患 | 循環に過負荷がかかる |
強い低血圧体質 | めまい・意識消失のリスク |
血行を良くすることは基本的に体に良いことですが、「誰にでも万能ではない」ということを覚えておきましょう。
不調や違和感を感じたら、無理に続けず「自分の体と相談しながら」取り入れていくことが大切です。
まとめ
血行が良くなることは、基本的に「体が元気になるサイン」です。その過程で、一時的な揺らぎや変化が起こることがあります。
もちろん、痛みが長引く・強すぎる場合は医療機関の受診が必要ですが、数日〜1週間で落ち着くような症状は「好転反応」の可能性もあります。
身体の声をきちんと聞きながら、焦らず少しずつ血流改善を進めていきましょう。