前屈をしたときに、床に手がつきますか?
近年、「体が硬い」と感じている人が多くなっている傾向がありますが
本来、人間の身体は、ある程度の柔軟性を持っています。
伸ばすと体が痛いなど、柔軟性不足を感じることはありますか?
日常で身体を動かす機会が少ないと
どんどん筋肉が拘縮して、動かせる範囲が狭くなり
身体が硬くなっていきます。
しかし、毎日ストレッチや体操を続けることで
身体はだんだん柔らかくなります。
身体が硬い、、と諦めてはいけません。
本記事では、身体が硬い原因と
柔軟性を上げるメリットなどをお伝えしていきます。
身体が硬い原因
体が硬くなる原因の多くは日々の生活習慣や運動習慣にあります。
普段から体を動かす機会が少ないと、脳は「このくらいの可動域で十分なようだ」と判断し、
省エネモードで身体を動かせるように、関節を動かす筋肉の可動域が狭くなります。
「身体が硬くなる」というのは、「関節の可動域が狭くなる」ということです。
運動不足、筋肉を使わないことは、身体が硬くなる要因ですが
同じような姿勢を長時間続けた場合も、
筋肉の疲労によって緊張が高まり、柔軟性を著しく低下させてしまいます。
仕事で積極的に身体を動かしている人でも、
いつも同じ動きしかしない場合、使っていない筋肉は硬くなってしまうので要注意です。
年をとると身体が硬くなるというのは、年齢が原因ではありません。
多くの場合は、筋委縮・筋緊張などが積み重なったためと考えられます。
筋肉には、血行を促す働きもあるため、
筋肉が衰えることは、血液循環の悪化、身体の冷えを引き起こし、
身体の中の循環が滞りやすくなります。
そのため、運動はもちろんですが
負荷の軽いストレッチや体操でも、十分に筋肉を動かしているため
筋肉が萎縮し、身体が硬くなることを予防することができます。
筋肉が硬くなる原因は、運動不足だけでなく水分・栄養不足も考えられます。
筋肉は「水分の貯蔵庫」ともいわれていて、水分量は約75%もあります。
筋肉を構成している腱や靭帯、筋肉を覆っている筋膜なども約60%が水分を含んでいるため
水分は、肌のうるおいや細胞に活性化だけでなく、筋肉にも必要であり
水分が不足することで、筋肉が硬くなります。
さらに、筋肉を作り出す「タンパク質」が不足することで筋肉が衰えたり、
糖質・脂質の栄養が足りないことで、倦怠感やすぐ疲れる症状など引き起こすため
食生活を見直し、栄養バランスを気にかけることも大切です。
水・栄養をしっかり摂り入れ、ストレッチなどを継続的に行っていれば、
年齢を重ねても柔軟性のある身体を手に入れることができます(^^)
柔軟性が高いメリット
身体の柔らかさは、血行や基礎代謝を改善させ、健康増進に繋がります。
柔軟性が高まることのメリットをご紹介します。
【怪我のリスクを抑える】
柔軟性が高いと体にかかる衝撃を分散できるようになるため
特定の部位に負荷がかかるのを避け、怪我のリスクを抑えることができます。
さらに、筋肉の緊張を解きほぐしやすいため、
身体の中の循環も整い、睡眠の質やホルモン分泌が十分に働き、
普段から疲れにくい身体を手に入れることができます。
【血行循環の向上、むくみ解消】
身体が硬いことは、神経や血管を圧迫し血流阻害を引き起こしやすいため
柔軟性を高めることは、圧迫されていた血流が良くなり、
酸素や栄養分が細胞に行き届きやすくなります。
血行を促進させる、心臓に血液を戻すためには、筋肉の収縮が不可欠です。
特に、リンパ節まわりの柔軟性を向上するとむくみの改善が期待できます。
血行が良くなることは、血液循環が早くなり、疲労物質がとどまらず流れやすくなるため
疲労回復にも効果があります。
【基礎代謝向上、ヤセ体質に】
筋肉の柔軟性が上がると関節の可動域が広くなるため、
大きな筋肉をスムーズに動かせるようになります。
柔軟性が高いことで、筋肉全体をしっかり動かせるため、
エネルギー消費量が高くなり、痩せやすい体質に近づきます。
【肩こり、腰痛など慢性の症状を和らげる】
柔軟性が高まることで、血行が促進されるため、
肩や腰まわりの筋肉疲労によっての疲労物質が流れやすく
血行不良による血管圧迫が解消されることで、痛みや重さなどの症状を緩和が期待できます。
柔軟性が向上することは、身体の中(血液や可動域)にも身体の外(筋肉や細胞の活性化)
にもメリットがあります。
様々なメリットは、血行循環の解消、筋肉緊張をほぐす、姿勢がよくなる
余計な負担が関節にかからないので怪我のリスクを抑える、などすべて連動しており
総じて、健康増進に繋がります。
身体を柔らかくするために
柔軟性を高めるため、身体を柔らかくするためには
関節を大きく動かしてあげること、
筋膜や筋肉をほぐすことが重要になります。
方法としては、ストレッチや全身を使った体操がおすすめです。
筋肉の柔軟性や関節可動域を向上させるためには
力を抜いて脱力して行うことで、筋肉の伸張を最大限に引き出すことができます。
筋肉を伸ばす際に息を吐くと、筋肉が緩みやすくなり、より柔軟性UPの効果を高められます。
しかし、伸ばし過ぎて体が痛みを感じる程の強度は、
興奮モードになる「交感神経」が働いてしまうため、筋肉が緊張してしまい逆効果になります。
深呼吸しながら、リラックスして行いましょう♪
ストレッチの効果を高めるためには
硬い部位を優先的にストレッチして、
体のバランスを整えながら全身まんべんなくストレッチを行いましょう。
体が冷えている状態は、血行不良や交感神経の働きによって、
筋肉が緊張した状態のため、筋肉が伸びにくくなります。
ストレッチをするには、温かくリラックスできる環境がおすすめです。
柔軟性は、筋力と同様、すぐに向上するものではありません。
とくにカラダが硬くなりやすい人やケガをしたことのある人は、時間がかかる傾向があります。
しかし、継続して行っていれば誰でも柔らかくなり
正常可動域まで動かすことができます。
身体の筋肉や筋膜はそれぞれ連携して働いているため、
どれか一つだけよりも、複数のストレッチや全身の体操を行い、
全体的に身体を伸ばすことがおすすめです。
無理なく続けられるメニューを取り入れて、自分のペースで行ってみましょう。
運動後のクールダウンも大切
運動をしている人が意外と見落としがちなのが、
運動後のクールダウンです。
筋トレをしているひとも、有酸素運動をしている人も
クールダウンをすることで、疲労回復も促し、筋肉が硬くなることを防ぎ
柔らかい身体を手に入れることができます。
特に運動後は、身体が温まっている状態なので
筋肉を効率よく伸ばす事ができます。
クールダウンでは筋膜が緩みやすい傾向があります。
筋膜という言葉になじみのない方も多いかと思います。
筋膜とは、「筋肉を覆う薄い組織膜」のことであり、柔らかい組織なので「委縮、癒着」を起こしやすいという特徴があります。
全身を覆っているため、どこか一部だけが固くなったとしても全体に大きな影響を与えてしまいます。
この萎縮や癒着が筋肉の柔軟性を損なう要因ともなります。
ストレッチの時に、皮膚を少し強めに擦ることで
筋膜へアプローチすることができ、溜まった血管内の廃棄物を効率的に押し流し、
代謝機能をサポートます。
また機能が低下している組織に刺激を与え、血行を良くして回復を早める効果も期待できます。
ストレッチは継続が大切
身体を柔らかくするには、継続が大切で
ストレッチや体操を全くしなくなる生活習慣になることで
身体はまた、元の状態に戻ってしまいます。
継続がとても大事という研究結果が報告されています。
関節の柔軟性や筋の柔軟性に対してストレッチングがどのような影響を与えるのかについて、これまでの研究の中で最も長いストレッチング介入を行い(1週間60分間を5週間)検討しました。
https://www.nuhw.ac.jp/research/2021/03/post-58.html
その結果、関節と筋の柔軟性が増加することがわかりました。
しかしながら、ストレッチングを終了した後は、その効果はなくなってしまい、5週間後には増加した柔軟性はストレッチング前に戻ってしまうことが明らかとなりました。
この結果より、若者を対象とした場合、ストレッチングは関節や筋の柔軟性増加に有効な方法ではありますが、その効果は持続しないため、柔軟性を増加した状態を維持するためにはストレッチングを継続する必要性があることが明らかとなりました。
ストレッチを行った期間と同じ期間のストレッチ中止期間を設けると、
ストレッチング効果がなくなってしまうという結果から
柔軟性を高い状態で期待するためにはコツコツと継続する必要があると考えられます。
これは、柔軟性に限らず、ダイエットや体質改善、健康増進にも言えることです。
病気や姿勢の崩れ、身体が硬くなるのは1日だけで悪化するわけではありません。
日々の積み重なりが溜まって、
最終的に身体に不調や歪みとして現れていきます。
そのため、健康を手に入れる、身体を柔らかくするためには
1日で改善するようなことはなく、日々繰り返し取り組むことが大切であり
繰り返していくうちに、健康を手に入れることができます。
そのため、身体は何歳からでも、柔らかくすることができます。
日々、コツコツと続けることで、脳が「現状が普通だ」と思い込むため
身体の状態が形状記憶されていき、1日・2日サボったからといって
すべてが水の泡になることはありません。
気楽に長期間の取り組みを見据えて、食事や運動、ストレッチなど
取り入れてみてください(^^)